東北楽天ゴールデンイーグルスで14年間活躍し、2013年には球団初の日本一も経験した岡島氏。2026年。社員の士気、そして地元・宮城県をさらに活性化するために、「チーフモチベーションオフィサー」という役割で、当社タイハクのアンバサダーを務めていただくこととなった。現役引退後、楽天イーグルス アンバサダー、そして大学院生としてのキャリアを歩み始めたいま、岡島氏が考える 結束力 とは何か?そして、チームが一丸になることで生み出される 力 とはどんなものか?を聞いた。
■結果を出し続けるために、
“今日の100%”を出す。
━━この度は、当社のチーフモチベーションオフィサー(CMO)に就任していただき、ありがとうございます。このオファーがあった時、どんな気持ちでしたか?
タイハクは、地元のスポーツチームを応援していますし、地域を盛り上げるような活動をしているので、とても共感が持てるなと思いました。自分もスポーツが大好きだし、素直に「やりたい!」と思いました。
━━当社の活動にご共感いただけて嬉しいです。岡島さんはもう14年間宮城にお住まいですが、はじめて宮城県に来た時は、どんな街の印象をお持ちでしたか?
2012年に入団したので、はじめて宮城に来たのは2011年の震災後だったのですが、ちょうど街では「SENDAI光のページェント」が行われている時で、めっちゃ綺麗な街だなと感動したのを覚えています。
━━ファンの皆様からも多く声を掛けられたんじゃないでしょうか?
そうですね、応援してます!とか、がんばってください!と声をかけてくれる方が多くて、とても嬉しかったのを覚えています。震災の翌年だということもあって、おこがましいですけど、街のみんなを元気づけられたらという想いでずっとプレーしていました。
━━ファンとの思い出で、印象に残っていることはありますか?
やはり、日本一になった2013年ですね。ここは外せないです。「東北がひとつになった!」という実感は、今でも鮮明に思い出せます。毎試合、東北のみんなで戦ってる、楽天イーグルスのファンと一緒に戦ってる、という気持ちがどんどん大きくなっていって。特に、優勝パレードの時、ファンのみなさまから “おめでとう” ではなく、“ありがとう” といってもらえたことが印象的でした。選手みんな、口を揃えて「こっちがありがとうだよね」と話していました。たくさん応援してくれて、優勝までさせてもらえて、お礼を言いたいのはこっちだよね、と。
14年間宮城にいて、多くの学びと出会いに恵まれ、いちばん濃い時間を過ごさせてもらった街であり、自分を成長させてくれた街。いまだに、おつかれさまと声をかけてくれたり、本当に楽天イーグルスでプレーできてよかったなと、しみじみ思ってます。これから先も、大好きな宮城にいると思いますし、第二の故郷だと思っています。
━━多くの期待を背負っていたかと思います。現役時代は、どんな気持ちでプレーされていましたか?
すべての方が毎回スタジアムに来ることができるわけではないし、もしかしたら年に一回の貴重な一試合なのかもしれない。そう思うと、もちろん活躍している姿を見せたいけれど、選手も人間なので、シーズンを通してずっと100%を出し続けるのは難しい。だから僕は、「今日の自分の100%を出そう」と思ってプレーしていました。
例えば、疲労が溜まって体調が50%だったとしたら、その中で必ず100%を出す。毎朝、自分の状態をチェックして、今日はどこまで出せるか、自分の体と会話することを意識していました。
決して手を抜いているということではなく、常に100%を出し切ろうとすると、自分が壊れてしまうんです。怪我をしてしまうこともありましたし、自分の状態を見極められないと、プロとして長く活躍出来ないんじゃないかと思います。
■メンタルを“コントロールする能力”を
もっている人が成功する。
━━現在は、球団アンバサダーとして活動されていますが、現役時代にはなかった苦労はありますか?
選手時代はテレビに出演するとしても、解説のような生放送はなかったので、慣れない環境に戸惑いもありますが、毎回いい勉強をさせていただいています。また、例えば5分の出演時間だとしても、その5分のために多くの人がすごく時間をかけて準備をしているんだということも知って、リスペクトが湧いてきています。
━━そんな慣れない環境でお仕事される際に、どうやって気持ちやコンディションを整えていますか?
どうあがいても、緊張はするもの。絶対に緊張するので、「緊張してきた…」と変な感情は入れないように、「これは緊張するものだ!」と事前に心構えをもって取り組むようにしています。
━━現役選手やチームとの関わりは今でもあるのでしょうか?
はい、球団アンバサダーとして、一歩引いたところで関わっています。この選手ってこういう場所で、こういうこと考えて、こういうことやってたんだ…と、一緒にやってたら気付かなかったけど、広く見えるようになったと感じます。プレーに関することだけではなく、現役選手たちのモチベーションの揺れなんかも見えてきますね。いまの時期はキャンプで、これからメンバーの選定が始まっていく時期なんですけど、焦る選手もいれば、自信を持っている選手もいるし、選手の心の内側がプレーに現れるんだなと感じることも増えました。
━━一歩引いた立場から現役選手を見ていて、現役時代には無かった気づきはありましたか?
引退してひとつ強く思ったことがあるんです。それは、プロ野球で成功する選手は、別にメンタルが強いわけじゃないということ。メンタルが強いのではなく、メンタルを“コントロールできる能力”がある人が成功しているんです。自分自身、後悔があるわけじゃないけど、メンタルをコントロールできる術を持っておけたらと感じることはありました。
■相手を知ること。
会話がなければ、成長はない。
━━これまでの経験を経て、岡島さんの考える「強い組織」とはどのようなものでしょうか?
チームメイトのことをよく知っていることが強い組織には不可欠だと思います。会話を増やせば、それぞれの考えや想いがわかる。そうするとお互いが高め合ってレベルアップできる。野球で言えば、ピッチャーのことをよく知っていると、「こいつのために守ってやりたい、打ってやりたい」という気持ちが芽生えてきます。人間同士だから、そういう感情が生まれることが大事で。だから、チームメイトのことをよく知ること。これは、会社組織でも一緒だと思います。会話がないと成長はないと思いますね。
━━岡島さんご自身はどんなことを実践していますか?
自分は、誰かにとって「何かを気付かせてくれる人」になりたいなと思っています。プライベートでも仲の良い人は声をかけてくれるけど、チームには話したことがない人もいます。そういう人から声をかけてもらえると、すごく嬉しい。だから、いつ声をかけてもらえてもいいように、常に準備しています。自分の見られる範囲で、相手の行動をずっと観察するようにしていました。
人って、「自分を見てくれてる!」って感じたら嬉しいと思うんですよね。だから、声をかけてくれた時に、すぐ相手に自分の想いを伝えると、「自分のこと、こんなにも見てくれてたんだ!」と気付いてもらえますし、そうやって、見てくれる人がいるなら、他の人にも見られているから気をつけなきゃなと本人に気付いてもらえると思うんです。
もちろん、自分の考えが100%正しいとは思わないけど、自分の考えている範囲のことや気付いたことは伝えるようにしています。
━━普段選手と関わりの無い方とはどうコミュニケーションを取っていましたか?
例えば、新しいトレーナーさんが入ってきた時なんかは、無駄に絡むようにしてました。この選手はこういう人だよとか、そういう話をしていましたね。いま思うと結構、人と人の間に入る役割を率先してやっていたかもしれないです。コミュニケーションのハブになる存在は、チームの結束力が強くなるために必要だと思います。元々、街を歩いていても人間観察するのが好きで、キャッチャー出身だからというのもあって、クセになっているのかもしれないですね。
■目標は、ステップ化する。
モチベーションを保つために、
小さな達成を積み重ねる。
━━ご自身のモチベーションを高めたり、保ったりするためにしていることはありますか?
自分に目標がある時はモチベーションが高まります。どんなに高くても低くても、目標を達成するために、まずはこれ、次はこれ、と目標をステップ化しています。ステップさえあれば、自分でひとつひとつ階段を登っていけますし、小さく達成していく喜びを積み重ねていくように自分で設計しています。現役の時は、オフ時期は試合が長い期間も無いので、キャンプが始まるまでにこういう姿になっていたいというゴールを決めて、今月はこれ、来月はこれ、とメニューを組んでいました。10月からみて、2月までは5ヶ月もある。だけど、1ヶ月毎で目標を設定すると、ちゃんと頑張れて、マンネリしない。だから続けられるんだと思います。
━━チームや組織が同じように高くモチベーションを保つにはどうすればいいですか?
仮に実現したらすごいパワーを生むと思いますが、一人ひとり自分の生活もあるし、立場もみんな違うから、同じ足並みになるのは難しいことだと思います。
立場が違えば、同じ声掛けをしても響かない。だから、一人ひとりに対して、この人にはこういう言葉がいいんじゃないか?とか、そもそも声をかけないほうが良い人もいる。どんな組織でも、これを考え続けるリーダーは、とても大変な立場ですよね。ただ、この作業を繰り返しているリーダーは、どんどん視野が広がっていくと思います。これまで出会ったチームをまとめてるリーダーって、よく周りが見えてるなって思うことが多いんですよ。何かあった時に、視野が広く、気付ける人が多いなと思います。
やっぱり、強い組織を作るにも、モチベーションを高め続けるためにも、間にはいって「つなぐ人」の存在が重要だなと思います。
■会話する。相手を知る。気持ちが分かる。
そこから、リスペクトが生まれる。
━━タイハクのCMOとして、どんな活動をしてみたいですか?
チームで自分が取り組んでいたことや、経験したことを社員のみなさまに話してみたいですね。あと、会社って役割によっては顔を合わせない人もいますよね?例えば、内勤の方と運転手の方とか。そんな社員の皆さんの間をつなぐ役割をやってみたい気持ちもありますね。自分も球団のアンバサダーになって、選手時代に関わることがなかった職員の仕事を見て、「こんなに1日中仕事してるの!?」と驚いたんですよ。ずっとPC触っていたり、ずっと会議していたり。
だからまずは、社員の皆さんを知るために、仕事に同行してみたいです。
トラックの助手席に乗らせてもらって現場を回ったり、内勤の方と会議にずっと出たり。いろんな職種の方の気持ちを知りたいです。会話をして、相手のことを知って、両方の気持ちがわかれば、仕事に対してもリスペクトが生まれると思うので。
━━最後に、タイハクの社員にむけてメッセージをお願いします。
自分自身も成長していくためにCMOをやらせていただくので、社員のみなさまと力を合わせて、タイハクも一緒に成長していけたらいいなと思っています。